馬篭宿・「夜明け前」藤村
中山道・馬篭宿
中山道・江戸へ八十里・京へ五十二里
中山道は、69宿場からなりたっており、江戸から妻篭宿を過ぎ
馬篭峠(標高800m余り)を超えると
馬篭宿である。
同じ中山道11宿の中、奈良井宿は峠を過ぎると平坦な街並みとなるが
馬篭は山中の登り坂で険しい。しかしながら、江戸と京を結ぶ要衝である為に
人と物資の行き来で繁栄を極めたと云う。
ここに、本陣、脇本陣、旅籠や物資集積所があつた。
島崎藤村・「夜明け前」
夜明け前・「木曽路はすべて山の中にある……」
全4冊(岩波文庫)
「藤村記念館」島崎藤村は馬篭に本陣を経営し、庄屋も勤めた
裕福な家庭に育った。
母の実家・島崎家も妻篭宿の本陣を営んでいた。
その後、東京に移り住むが、小説「夜明け前」は、父をモデルにした
とも云われている。
主人公・青山半蔵は裕福な家庭の中で父から国学の素養を学び影響を受ける。
当時の徳川・武士社会に疑念を抱き始め、社会の矛盾に対して平田学派による王政復古の
夢を見る。
幕末の動乱は明治維新となり、変革された世は王政復古で迎えられると確信しつつ、啓蒙を続ける。
しかしながら、明治維新が終われば西洋の近代化の波の中、中山道が廃止され、
新道は木曽川沿いとなり馬篭、妻篭等の宿場街は没落の一途を辿り、貧困社会をまねくこととなつた。
また、本陣、庄屋として地域に貢献し、維新に理解したことも無視され、人心は離れてしまう。
主人公・青山半蔵は維新は何だったのか、近代社会とは何かと悶々たる日をおくりつつ、精神に異常を来し、
一族に座敷牢に押し込められてしまう。最後には、座敷牢にて狂死する。
馬篭からの眺望・山中である
関連記事